結婚指輪やピアスなどで「ある日、突然、皮膚が赤くなった」といった経験はありませんか。中には「かぶれ」との境目が分からない人もいるでしょう。お気に入りのジュエリーほど外したくありませんよね。
金属アレルギーの原因は「金属」です。
「プラチナは安全」という保障はなく、一度でも発症した人は、身の回りのものに注意しながら生活しなければいけません。
今回は金属アレルギーについて、メカニズムや金属の種類など、一般的な対策法をまとめてみました。
金属アレルギーの原因
厚生労働省によると、
製品中の金属が皮膚や口腔粘膜面で金属がイオン化すると、体内のタンパク質と結合して新たなタンパク質に変性し、それを体が“異物”とみなすことによってアレルギー反応が生じる。
出典:(厚生労働省:本邦における金属アレルギー診療の現状と課題)
2023年3月著者調べ
https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/000812150.pdf
としています。
つまりジュエリーが肌にあたり、体液に触れることでアレルギーを拭き起こすというものです。
年齢や性別では20、30、50代の女性で、ネックレス、指輪、ブレスレットが大半を占めています。
金属アレルギーと聞くと「何となくかゆい」という人や「赤くなる」といったことを思い浮かべるかもしれません。
発症するとさまざまな部位で症状がみられますが、
・汗が大量にでる
・手のひらや指などに水ぶくれができる
・水ぶくれの周辺が赤くなる
・皮がむけてブツブツができる
・単体ではかゆくないが、湿疹があるとかゆくなる
といった経験がある人は、金属アレルギーが原因の場合もあるため注意しましょう。
花粉症のように去年までは平気だった人が、ある日を境に出てくる人もいます。極端にストレスがたまっている場合や、スポーツなどで汗をかいているときも発症しやすいといわれています。
症状がすぐに出ないため、遅延型アレルギーとも呼ばれているのです。
また、金属アレルギーは、一度、発症すると長く続くため、身につける素材には注意しなければいけません。
不安な場合は、必ず医療機関でパッチテストを受けてから、ジュエリーを身につけるようにしましょう。
出典:(金属アレルギーについて _ 一般社団法人日本ジュエリー協会)
2023年3月著者調べ
https://jja.ne.jp/howtobuy/howtobuy_inner06.html
出典:(厚生労働省:平成19年度家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告について)2023年3月著者調べhttps://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/h1225-4d.html
注意が必要なジュエリーとは
一般的にはニッケル、クロム、コバルト、水銀のアレルギー反応が高いという報告があります。
(ニッケル)
光沢が出やすく、加工がしやすい素材です。下地に用いることで傷がつきにくいといったメリットも。安価なので調理器具、携帯電話など日用品に用いられている素材です。
(クロム)
クロムは3価と6価の2種類があり、金属アレルギーを起こすものは6価といわれています。革製品の加工の段階で、腐ったり変色したりしないよう「なめし」で用いられている場合が多く、汗をかいた場合に注意が必要です。
(コバルト)
シルバーよりも酸化しにくく、酸や塩基に強い金属です。
日本ではコバルトを用いたジュエリーの製造を禁止していますが、安価のため海外で作られていることもあり海外製品には注意が必要です。
(銅)
銅はジュエリーやアクセサリーに欠かせない金属です。銅を含んだジュエリーは、しんちゅうやシルバーといった素材に用いられています。
ピンクゴールドやイエローゴールドといった素材にも使われているため、カラーゴールドを選ぶときは気をつけましょう。
ほかにもスズ、亜鉛、パラジウム、クロム、鉄、アルミニウムといった素材も、金属アレルギーになりやすいとの報告もあります。
対策に最適な商品
一般的に金属アレルギーになりにくいとされている金属を紹介します。
(チタン)
医療用インプラントや人工骨に用いられている金属です。チタンはシルバーやプラチナに比べて非常に軽く、汗や水、空気に触れてもさびないためお手入れが簡単な金属です。
(サージカルステンレス)
酸化や熱に強い、さびにくいといった特徴があり、医療用器具にも用いられている最高級素材です。
ゴールドやシルバーに比べて硬く、傷がつきにくいため、ピアスやネックレスとしての需要も高まってきています。
(プラチナ)
レアメタルと呼ばれる希少価値の高い金属です。近年はプラチナとパラジウムで構成されていることが多く、加工時に異なる金属が混じっている場合は注意が必要です。金属アレルギーが不安な人は、パラジウムが入っていないものを購入してください。
(ゴールド)
一般的にジュエリーに向いている金は、硬めで純度があるK18~K14金とされています。加工時に鉄、銅、パラジウムなどを使用している場合は、アレルギー反応が出やすくなります。また、K10金、K9金、K18KGPといった純度の低い金属にも注意してください。
(プラスチック製)
ピアスの場合は、樹脂でできているジュエリーも視野にいれてください。肌に触れる部分が樹脂でできているため、金属アレルギーを起こしにくいとされています。
飾りに金属が用いられている場合もあるため、コーティング剤を使い皮膚を保護する方法も取り入れてください。
最後に
金属アレルギーとは、ジュエリーが肌にあたり、かゆみや水ぶくれといった不快感が現れること。ある日、症状が出る人も多く、一度発症すると一生続くといわれています。
疲れたときや汗をかいたときに出やすいため、ジュエリーを身につけるときは気をつけてください。
一般的に、チタンやサージカルステンレス、プラチナ、ゴールドは金属アレルギーが出にくいとされています。
ですが加工時にほかの金属が混ざっている場合もあるため、購入時に確認するといいでしょう。
金属アレルギーに限らず、運動時や睡眠時、水仕事などはジュエリーを外して、できるだけ肌を清潔にたもってくださいね。